データから考える
個々の予防治療

PREVENTIVE DENTISTRY

予防治療

定期的な口腔管理(メンテナンス)の重要性|虫歯・歯周病予防のカギ

歯の治療が終わった方にも大切なメンテナンスのお話

定期的な口腔管理は、健康な歯と歯ぐきを維持するための重要な機会です。虫歯や歯周病は、定期的な検診で早期発見が可能となり、深刻な問題を未然に防ぐことができます。早期の治療は負担が少なく、健康な口腔環境を保つために非常に効果的です。

・口腔の健康と全身の健康は密接に関連

歯の健康は、全身の健康に大きく影響します。特に歯周病は、糖尿病や心疾患などの全身の病気と深い関係があるため、定期検診による予防が重要です。

・虫歯の早期発見|治療をシンプルに

虫歯は初期段階での発見が最も重要です。定期検診での早期発見により、簡単な治療で済み、治療費や治療時間の節約にも繋がります。また、早期治療は痛みが少なく、患者さんにとって快適な治療体験となります。

・歯周病の予防|全身の健康を守るために

歯周病は、定期的な検診によって早期発見が可能です。歯石やバイオフィルムの除去により、歯茎の健康を守り、進行を防ぐことができます。また、歯周病は全身の健康にも影響を与えるため、全身の健康管理の一環として予防が大切です。

・予防歯科の役割|長く健康な歯を守るために

予防歯科では、定期検診を通じて虫歯や歯周病を未然に防ぐことが重要です。定期的なクリーニングと専門的なケアにより、健康な口腔状態を長く保つことが可能です。また、正しい歯磨き方法や生活習慣の改善を指導することで、セルフケアの質も向上します。

未来の健康を守る|信頼できるかかりつけ歯科医へ

当院は、患者さんの口の健康を長期的にサポートするために、「口腔管理体制強化加算」の施設基準を届け出ている歯科医院です。この制度を通じて、患者さんに安心して質の高い口腔ケアを提供できる体制を整えています。

1. 定期的な口腔ケアでお口の健康を維持

当院では、虫歯や歯周病の早期発見・予防を重視しています。定期的に口腔内をチェックすることで、トラブルを未然に防ぎ、痛みや大掛かりな治療が必要になる前にケアします。

2. 全身の健康を守るサポート

お口の健康は、体全体の健康にもつながります。口腔ケアを徹底することで、糖尿病の管理や誤嚥性肺炎の予防にもつながります。かかりつけのお医者さんとも医科歯科連携をとりながら、全身の健康を考えたトータルケアを、当院がサポートします。

3. あなたにぴったりの個別ケアプラン

当院では、患者さん一人ひとりのお口の状態やライフスタイルに合わせたケアプランを作成しています。あなたに合った最適なケアを提供することで、より効果的な口腔ケアを受けられます。

4. 安心のかかりつけ歯科医体制

当院では、定期的な通院を通じて患者さんとの信頼関係を築き、何かあったときにすぐに相談できる環境を整えています。あなたの口腔健康を長期的に守る、頼れるかかりつけ歯科医としてお手伝いします。

メンテナンス当日の診療内容

歯周病重症化予防治療SPT(サポーティブ・ペリオドンタルセラピー)といった予防的な治療の重要性が高まっています。

①問診:患者さんの口腔ケアや生活習慣を詳しく伺い、お口の中の病気の背景となる原因を考えます。
当院ではCRASP(カリエスリスクアセスメント)というシステムを用いて、むし歯の原因を患者さんとともに考えて口腔内環境を改善できるきっかけを作っていきます。

②口腔内診査:虫歯や歯周病の兆候を早期に発見します。歯肉の状態は歯周組織検査(プローブと呼ばれる細い棒で歯の周囲を触ります)や口腔内写真、また必要に応じてデンタルレントゲン10枚法やバイトウィングといった精密なレントゲン撮影を定期的に行います。

③結果説明:今までの検査結果と比較して、どう改善したのかを数値やグラフで可視化して説明します。

④口腔衛生指導:患者さんのセルフケアがより向上してもらえるように歯の形や状態に合わせた、正しいブラッシング方法や、患者さんにあった歯磨きペーストや歯ブラシのご提案もします。

⑤クリーニング:歯石やプラークを除去し、虫歯や歯周病のリスクを減少させます。

⑥フッ素塗布:エナメル質初期う蝕や根面う蝕という初期の虫歯に対しては、すぐには削らないでフッ化ナトリウムを塗布し、虫歯の進行を停止するようにします。

⑦次回予約:患者さんのお口の中の状態に合わせて1~3ヶ月毎の次回メンテナンスのお約束をお取りします。お口の中の変化は緩やかなので、長くチェックを続けることで小さい変化に気づくことができます。

費用:保険診療(窓口3割負担の方)約3,300円~5,500円程度です。歯の本数や歯周病や身体の状態、レントゲン撮影の有無で費用が変わります。定期的な口腔管理によって重症化を防げますので、長期的にみると患者さんの身体的・経済的負担はかなり軽減します。

この「口腔管理体制強化加算」の基準を満たすことで、当院は皆さんの口と体の健康をしっかりとサポートすることをお約束します。これからも、皆さんが安心して通える歯科医院として、予防とケアに力を入れていきます。

ぜひ、定期的な検診でお口の健康を守り、健やかな毎日を一緒に目指していきましょう!

(コラム) 歯を残すためにはどうしたらいいか?

抜歯の原因から予防を考えよう

平均喪失歯(平成28年度)
平成28年度歯科疾患実態調査(厚生労働省)による一人当たりの平均喪失歯数

歯の本数は、親知らずを除いて上下顎の歯を合わせて28本あります。

平成28年度の歯科疾患実態調査では、
現在の日本人の平均喪失歯(抜いた歯)は、50歳で2本以上

そこから少しずつ歯を失うペースが上がってきて、70歳で8.6本以上の歯が失われています。

将来、歯を悪くしないようにするためには、どうしたら良いのでしょうか?

歯が悪くなる(=最終的に抜歯になる)ことを避けるためには、抜歯の原因が何かを知っておく必要があります。

そこで、永久歯の抜歯原因を調査した報告書について解説していきます。

永久歯の抜歯原因調査報告書とは?

平成17年にまとめられた、財団法人8020推進財団の調査報告です。
全国の歯科医院での抜歯処置とその原因を調査し、歯の喪失の実態と原因を把握するために行なわれました。
http://www.8020zaidan.or.jp/pdf/jigyo/bassi.pdf (8020財団 8020調査・研究事業より)

どんな調査?

2005年2月1日~7日の7日間に実施され、その間の全国の歯科医院(データ回収数2,001件)における抜歯症例に関する様々なデータをまとめています。
日本人の歯の喪失の主原因を把握することができる有益な調査です。
現在が2018年ですから、今からすでに13年経過しています。しかしながら最近、各地で行なわれている調査(全国ではなく地域レベル)の結果も、ほぼこの全国調査と一致していますので、抜歯原因を説明をする際には今でもよく引用されているのです。

抜歯の主原因は?

対象患者数7,499名 調べた抜歯総数は9,350歯
これらのデータから抜歯の主原因を考えていきます。
抜歯原因
永久歯の抜歯原因調査報告書(平成17年8020推進財団)
上の円グラフは、抜歯原因の割合を示したものです。
歯を失う原因の第1位は「歯周疾患(歯周病)42%」、第2位は「むし歯 33%」、これらは歯科の二大疾患と言われています。そのあとに「その他 13%」「歯根破折11%」「矯正治療1%」が続きます。
「その他」の内訳としては、そのほとんどが親知らずの抜歯になっています。
「歯根破折」は、転倒や事故による外傷を原因とするものもありますが、失活歯(神経をとった歯)の歯根破折が経験的に多いと考えられます。
失活歯とは、むし歯が進行したことによって歯髄処置(歯の神経をとる)を行った歯です。特に繰り返しむし歯の治療をした歯は、残っている歯質が薄くなっていて歯が割れやすいので要注意です。
そのため歯根破折も、元の原因はむし歯由来である可能性も高く、そう考えると、
むし歯33%+歯根破折11%=むし歯由来の原因44%で、「歯周疾患42%」に匹敵する原因と考えられます。
ここで大切なことは、
特殊なケースを除いて、歯周病もむし歯も予防できる疾患だということです。
つまりこれらを原因とする80%近くの抜歯は、予防によって避けられる可能性が高いとも考えられます。

通常、食事をするたびに脱灰と再石灰化が繰り返されています。ところが、過度の脱灰には再石灰化が追い付きません。

そのまま進行してしまうと自然治癒することはなく、自力で治すことも不可能となります。

虫歯を予防するためには、日ごろから丁寧な歯磨きを行ない、健康的な食生活を送ることが大切です。それでも虫歯になってしまったら、放置せずすぐにご来院ください。

 ■まとめ
・抜歯の主な原因は、「むし歯」「歯周病」で80%近くを占める→「むし歯」も「歯周病」も予防が可能、80%近くの歯を残せる可能性がある。

原因別にみた抜歯と年齢の関係

抜歯の主原因を年齢階級別にみたデータがあります。
右のグラフは、抜歯本数(縦軸)と年齢(横軸)を示しています。

むし歯

むし場
抜歯の主原因別(むし歯)にみた抜歯数

まず、むし歯。
割合的にみると、40歳以下の抜歯原因の第1位がむし歯です。
そして全年齢層において、比較的高い抜歯本数を示しています。

つまり、むし歯はすべての年齢において予防が必要ということになります。

歯周疾患(歯周病)

 

歯周疾患
抜歯の主原因別(歯周疾患)にみた抜歯数
歯周疾患(歯周病)は45歳以上の抜歯原因の第1位です。
歯周疾患は若年者では少ないが、年齢が高くなるとともに増加する傾向にあります。
厚生労働省が行なった平成23年の歯周疾患実態調査では、歯肉に歯周炎を認める人数は、45-49歳の年齢階級層で、各年齢階級層で最高の約87%を示しているというデータがあります。
抜歯本数は60-64歳の年齢階級層で最大値を示していますので、恐らくこの年齢階級層の人、はその10~15年前(45−49歳)には歯周病の兆候があったと思われます。
歯周疾患は少なくとも30歳後半から予防を始める必要がありそうです。
そして、報告書には「現在歯数と抜歯原因の関係」にも言及しており
・・・いずれの年齢階級においても、現在歯数が少なくなると歯周病による抜歯の割合が多くなる傾向が見られた・・・ (永久歯の抜歯原因調査報告書より引用)
歯が少なくなると、1本当たりの歯にかかる咬む力は増えていきます。歯周病は、歯を揺り動かすような力がかかるとその進行を早めてしまいます。
適切な治療を行なわないと、ドミノ倒し的に抜歯が増えてしまうのです。
歯周病になってしまったら、抜歯する歯を増やさないように歯周治療を早めに行なうことも大切です。

■まとめ
・「むし歯」は全年齢層に対して抜歯の原因となっている

  →すべての年齢層で、むし歯予防が必要

・「歯周病」は、45歳以上で抜歯の最大の原因となっている

  →30歳後半からは歯周病予防の意識を!